032453 ランダム
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龍刀【朧火】製作所

二章【太刀を振る娘】

ハンターは街に帰って来ると,
いつも見ている風景が広がっていた。
馬車置き場から酒場に直接いけるようになってあるのだ。
男の帰還を待っていたらしい若い女ハンターが優しく迎えてくれた。
「おかえり、はやかったわね。」
女はすっと冷や水の入ったコップを手渡す
「道具をつかったから、早くて当然だよ。エレン」
男はコップを受け取り、一気に飲み干す。
エレンと呼ばれた女ハンターは、それなら納得したように頷く。
「ところで、次は一緒に狩りにいかないレス?」
レスは賛成する。
なぜこの男ハンターの名前がレスなのか、
大抵の街のハンター達は知っている。
孤児だったのだ。
だから名前がないのでネイムレス。
省略されてレスと呼ばれている。


その日二人はひとまず休み、
次の日、一緒に狩りに行くことになった。
エレンは早朝から愛刀の鉄刀【神楽】を丁寧に手入れしていた。

エレンは世界一の太刀使いを目指しているハンターで、
他のある街にいると言われるあるハンターを超えることを目標としている。
その日の昼、二人はモンスターを狩りに出かけた。
そのモンスターとは通称【盾蟹】。
~【ダイミョウザザミ】甲殻種ヤオザミ科~
【モノブロス】飛竜種角竜科の頭殻を背負う大型の蟹。
巨大な爪を持ち俊敏に動き回り、ハンターを翻弄する。
大きな爪を盾として使うところから【盾蟹】とも呼ばれている。
     ~ハンター大全第三章モンスターの生態より~
・・・といったモンスターである。



太陽が眩しく照り付けるなか、
砂漠を駆ける二人・・・・

鳥竜種【ランポス】の亜種である
【ゲネポス】があたりを元気に跳ね回っていた。
奴らの牙や爪には毒があり、
まともに食らうとしばらく体が麻痺して動けなくなるという。
狩りにおいては非常に厄介な相手だ。
まだターゲットが来てないようので、エレンは太刀を抜いて彼らに近付く。
レスはエレンに合図すると、だいぶ向こうにいるゲネポスの退治に行く。
レスに気付いたゲネポス達はギャーギャーとほかの仲間達に、
《警戒しろ》と教えてるが、すぐにエレンのほうに向き直る。
エレンが角笛で挑発したのだ。

ほとんどのゲネポスはエレンに襲いかかっていったが、
全て斬り落とされた。
それが終わるころ、レスもちょうど片付け終わった。

二人はエリアの中央あたりで
村からの支給品でもらった携帯食料を食べた。

その時だった。
背に一角竜の頭蓋をかぶった大きな蟹が、
砂漠の大地から飛び出した。

「ダイミョウザザミ!!?」
二人は慌てて近くの岩陰に潜み、そっとダイミョウザザミの方をみた。
どうやらこちらには気付いていないようだ。
二人は先ほどの戦闘でついた血糊を払い、
エレンはペイントボールを構えスイッチを押し、
レスは強走薬と呼ばれる一定時間疲労を感じなくなる薬を飲んだ。
肺に空気を目一杯吸い込むと二人は走り出した。
まずエレンは背中のモノブロスの角に、
ペイントボールを当て右後ろ脚に勢いよく斬りかかった。
うまく間接部分に入ったのか脚を縦に深々と斬り裂いた。
レスはサイクロンを抜き取り、イャンクックの時にも行ったように、
剣をすり合わせた。
そのまま休む間もなく左後ろ足に斬撃を浴びせた。

二人のいきなりの攻撃に怯んだダイミョウザザミは
とにかくレスが見えたので、大きなハサミで殴った。
レスはまともに体にうけたが、鬼人化をしているため、
ひるまずに耐えきり、攻撃し続けることができた。
そして今度はエレンから紅い炎のような気が沸く。
太刀使いの技には、斬る度に練気といって、
鬼人化に似たことができ、ある程度まで練気すると、
筋肉などが一時的に強化されるのである。

そして、
その練った気をのせて放つ剣技【気刃斬り】

エレンはそれを放ったのだ。
強化された筋肉と気をのせた斬撃は、
ダイミョウザザミの足を深く斬り裂き、
体制を崩させた。
こかされもがくダイミョウザザミの顔に、レスは斬撃の乱舞を放つ。
足を払い、こけたところを攻撃するのは基本的な戦術で、
最もよくつかわれる戦法なのだ。
やっと起き上がったダイミョウザザミは、少し様子がおかしかった。
口から水泡をブクブク吐き、いやに行動が早い。
「レス!気をつけて!!」
エレンはもう一発「気刃斬り」を放ちながら叫ぶ。

「わかってる!」

レスはダイミョウザザミのハサミを避け、その隙に胴体を斬る。
その時、ダイミョウザザミは足を曲げ、勢いよく宙へ飛び上がった。

「よけろ!!」

レスとエレンは急いで武器をしまって避けた。
巨大なダイミョウザザミがズドンと落ちて来て、砂塵を巻き上げる。
逃げ切れず風圧に耐えきれなくて、
前のめりでこけてしまう
ダイミョウザザミは体制を建て直し、
エレンに向かって高水圧のブレスを吹きつける。
エレンはもはや後ろを見返ることなく、
横飛びでなんとか避けた。
・・・が安心したのもつかの間、
再びブレスがこようとしていた。


「ぐああぁぁぁ!!」
エレンの叫び声に気づき、レスは鬼人化を解いた。
ブレスの直撃は免れたエレンだか左脚に当たり、
大きく脚部のランポスグリーブがへこみ、
割れた破片が脚に刺さっていた。
状況を理解したレスはすぐさま腰の角笛を吹き鳴らしダイミョウザザミの
気を引きつけた。
「くっ・・・」
エレンは激痛に耐えつつも脚に刺さったランポスグリーブの破片を抜き取り
、回復薬を脚に一つかけて、もう一つを一気に飲み干した。
爽やかな匂いと共に痛みが引き、傷口はすっかり塞がっていた。
「十分お礼はさせてもらうわよ!!」
そう吐き捨てるや否や太刀を取り全力で走り出した。
レスがダイミョウザザミの爪をかいくぐっていると、
鈍い音と共にダイミョウザザミの背中の角が根元から折れた。

異様な騒音とも呼べる悲鳴をあげるダイミョウザザミに、
エレンは容赦なく攻撃を続ける。
「はあぁぁぁ!!!」
右回しの大振り気刃斬りに続き、
突き・左回しの気刃斬り・斬り上げ
そして最後に左右と叩き下ろしの気刃斬り、
という一連のコンボを見事にきめる。

ダイミョウザザミは少しの間ぐったりして動けないようだった。
その隙をレスは見逃さない。
(まだ強走効果はつづいていた)
再びシャランッと対なる剣を擦りつけると、紅い闘志が体を覆う。
レスはダイミョウザザミ自慢の爪の右のほうを乱舞で斬りまくると、
ガリッという音とともに爪の一部が飛ぶ。

そして左の爪を、いつの間にやら回り込んでいたエレンが斬りつける。
Vの字に斬ると、見事に爪の一部を斬りわけた

そのとき、ダイミョウザザミは、戦況を冷静に判断したらしく、
地面に潜ってべつの場所へと逃げたようだった。

「大丈夫かエレン?」
レスが鬼人化を解いて駆け寄る。

「なんとかね。でもランポスグリーブが完全にやられたわ。」
エレンはランポスの素材と鉄鋼石でできた具足の残骸をみて言う。

二人に一瞬沈黙が襲ったがレスが
「行こう」とべつのエリアのほうへ走り出す。

あらかじめつけておいたペイントボールの強烈な臭いを手掛かりに、
相手を探す。

エレンが地図を広げながら、あたりを見渡す。

「たぶん、エリア3ね」
レスも頷く。

砂漠から岩地に変わったあたりのその場所に、
たしかにダイミョウザザミはいた。
直ぐに感づかれ後ろ向きに歩いてくるダイミョウザザミ。
レスはすぐさまポーチの中にあったタルに爆薬と油を混ぜ混み、
少し手前に下がった。

ダイミョウザザミが気づかず、
タルの目の前まで来た瞬間エレンは投げナイフを三つ投げつけた。
二つは背中の角があった部分に連続で当たり背中の頭骨に亀裂が入った。
直後、
爆音と振動が広がり、
ダイミョウザザミの背中の頭骨は半分以上が吹き飛んでいた。
すぐさまレスが剥き出しの背中に乱舞を叩き込む。
激痛で倒れたダイミョウザザミの顔に、
エレンの一撃がめり込みダイミョウザザミは動かなくなった。

「ふぅ。」
「脚具はコイツので作り直さなきゃ。」

二人は動かなくなった蟹の殻を丁寧に斬り分け、
エレンが高らかに斬り分けた爪を掲げた。


【あとがき】
やっとこ2章で主人公の名前でましたが、結局名無しさんです(笑)
エレンは前から考えてたキャラで、
うまいことこっちの話のメインになりました。
さてはて、3章はどんな内容なのか、自分自信でも楽しみ♪
つぎは順番よりkaraからかきだしです。
以上、2章かきだし&タイトル&あとがきをした。
(ってかこれも順番制だね)
雷神ことモンバサでした。


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